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尻尾のあるZ [発音・綴り]

以前、生徒さんから筆記体のz(の下部)はどうしてこんな形なのかと質問されたことがありました。
Cursive - 筆記体 - Wikipedia

その後、古い書体ではzに尻尾のようなものがついている場合があるのを知りました。
前回見た書体の関係図では、尻尾が現れたり消えたりしています。
どうして尻尾を伸ばそうと思ったかまではわかりませんが、このあたりに筆記体の形の起源があるはずです。
Evolution of minuscule - アンシャル体 - Wikipedia

フランス語などで使われるセディーユも尻尾のようなものですので、参考になるかと思い、Wikipediaを見ると、セディーユ自体がzで、すでに尻尾はついていました。
このことはもしかしたらむかし仏語初級で説明され、右の耳から左の耳へ抜けていったかもしれません。
セディーユ - Wikipedia
Visigothic Z-C cedille - Cedilla - Wikipedia, the free encyclopedia

発音記号に使われているのは、この尻尾つきのz (ezh) でした。
これに限りなくよく似たyoghは、gまたはyに関係する文字とのことです。
Ʒ - Wikipedia
Ȝ - Wikipedia
John Wells's phonetic blog (Thursday 27 September 2007)

大文字Dから小文字dまでの道程 [発音・綴り]

ときどき生徒さんが小文字のbとdを間違えて読んだり書いたりすることがあります。
「そういう子は英語が苦手な子、得意な子は間違えない」のであれば話は簡単ですが、どうもそうとばかりも言えない例に出くわして驚くことがあります。
一方、大文字のBとDを混同する人はまずいませんので、つぎにそんなことがあったら、大文字と小文字の結びつきを説明してみようかと思います。
とくにDとdが反対向きになった経緯がポイントと思われます。

ちょうどよい質問と回答がYahoo!知恵袋にありました。
アルファベットの小文字にまつわる雑学教えて下さい!ふと思ったのですが、大文字 ... - Yahoo!知恵袋

以下のリンク先にあるさまざまな例を眺めていると、何がどうなったか見当がつくような気がします(どうして!?という字もありますが)。
Dの原型はΔ(デルタ)です。
またアルファベットの筆順には普通思われている以上に大きな変動があること、小文字は大文字(のくずし書き)から派生したものであることも関連する事実です。
Evolution of minuscule - アンシャル体 - Wikipedia
Greek minuscule - Wikipedia, the free encyclopedia
この字なども参考になります。
Ð - Wikipedia

時間があったら以下も読んでみたいと思います。
Fonts for Latin Paleography - User's manual

-ageで終わる単語の発音 [発音・綴り]

-ageで終わる単語のアクセントを調べたいと思ったのですが、いかにも発音問題で出そうなものが多かったので、とりあえずそちらを。

advantage ×アドバンテージ
average ×アベレージ
baggage
beverage
bondage ×ボンデージ
cabbage ×キャベツ
carriage
cottage ×コテージ
courage
coverage
damage ×ダメージ
foliage
garbage
heritage ×へリテージ
homage ×オマージュ
hostage
image ×イメージ
language ×ランゲージ
linkage
luggage
manage ×マネージ
marriage
message ×メッセージ
mileage (milage) ×マイレージ
package ×パッケージ
passage ×パッセージ
percentage ×パーセンテージ
sausage ×ソーセージ
village
vintage ×ヴィンテージ
voltage ×ボルテージ
voyage
など

2音節以上で/ei/になるもの
assuage
engage
enrage
outrage
presage (v.)
rampage (n.)(v.)
など

その他 /A:/
camouflage
massage
montage
sabotage
など

間違えやすい序数 [発音・綴り]

中1の生徒さんと序数を勉強しました。
綴りを間違えやすいものがいくつかあって、生徒さんにとっては難しいところです。
私にとっては、つぎのような興味をそそるところのある単語群です。

●firstはもともとは最上級
●secondはあとに続くという意味で、sequentなどと同語源
●thirdは音位転換(metathesis)により、iとrが入れ替わっている(もとはthridのような形だった)

でも、これは生徒さんには役に立ちそうにない話ですので、いまのところは単にがんばって憶えてもらっています。

ninthも間違えやすい単語です。
nineから語末のeをとらなくてはいけないのに、うっかり忘れて、そのままthをつけたくなるのですね。
しかし、eがなくなるのはfiveからfifthにもあります。
ですので、ほかに理由をさがすならば、子音2つの前の単母音字でアルファベット読みをするのがやや直感に反するという点が考えられます。
これは中1の生徒さんにとっても当てはまるのではないかと思っています。

ninthの綴りは以前どこかの医学部入試で出題されたのを見たことがあります。
生徒さんと序数を憶えるときはいつもこの話をいくぶん大げさに伝えて、そのインパクトで記憶してもらおうとしています。
(「これを間違えてまた来年!というのは嫌ですよね」など)

曜日・月・季節 [発音・綴り]

小学生の生徒さん用に、曜日・月・季節の英単語の発音と綴りが確認できるサイトを探してみました。

foniksというサイトの次のページは簡便です。
Appendix: the alphabet, days of the week, months of the year, numbers 1-1,000,000
マウスオーバーで音声が出ます。
発音はイギリス英語です。

もうひとつ、千葉市教育センター(千葉市教育用コンテンツ)の次のページ。
英語で言ってみよう ~月・曜日・季節~
こちらはアメリカ英語のようです。

ちなみにGoogle画像検索で春夏秋冬を検索するとなかなか美しい画像が出ます。
spring
summer
fall autumn
winter

月では7月と10月でまとまった感じの結果が出ます。
July(米独立記念日)
October(ハロウィーン)

H, hの読み方 [発音・綴り]

前回のつづきとしてアルファベットのHの話を。

一般になじみのあるHの発音はエイチのような感じで、ジーニアスなどを見てもこの発音のみを記載しています。
ところが最近はヘイチのように発音する人も増加しているそうで、イギリスの若年層のおよそ4分の1を占めるとの調査結果があります(ロングマン英語発音辞典、Hの項)。

こちらの記事にあるビデオで聞くことができます。
BBC News - 'Haitch' or 'aitch'? How do you pronounce 'H'?

"ヘイチ 発音"などで検索すると、実際に耳にした人のブログ記事がいくつかヒットします。

これはアメリカ英語ではどうなのでしょうか。
Wikipediaの項目にこの発音が聞かれる地域があげられていますが、アメリカには言及がないので、おそらくあっても少数なのでしょう。

Z, zの読み方 [発音・綴り]

小学6年生の生徒さんとアルファベットを勉強しています。
アルファベットの中で、Zだけはまったく異なる2つの読み方があります(アメリカ英語ならズィーのような感じ、イギリス英語ならゼッドのような感じ)。
アメリカ英語とイギリス英語で呼び名がちがうものは多いので、あまり注意したことがなかったのですが、先日英語史の入門書を眺めていたら、
「イギリス英語のゼッドはフランス語のZの呼び名にならったもの、アメリカ英語のズィーはCやTなどの類推から」
と簡単な説明がありました。
またもう少し詳しいことを調べてみたいと思います。

とりあえず、アルファベットに母音を共有するものが多いのは面白い事実です。
これにしたがって分類すると26文字から5つのグループができます(例外が3文字)。
発音の知識がチェックできると思いますので、頭の中でグループ分けしてみてはどうでしょうか。
以下のようになります。

BCDEGPTVZ(AmE)
FLMNSXZ(BrE)
AHJK
QUW
IY

仲間がいないのは
OR
です。

カカオ・ココア・ココナッツの関係 [発音・綴り]

<カカオとココア><ココアとココナッツ>の関係について、ここまでは確実と思われる事柄。
今後どなたか調べる人もあるかと思いますので、わかったことをまとめておきます。

カカオは16世紀初頭にコロンブスがスペインに持ち帰りました。
ココナッツは15世紀にポルトガル人がインド洋の島で見つけました。


<カカオとココア>

●一般にcocoaはcacaoのmisspelling(誤記)から生じたと考えられているようです。
(この3つの単語でネットを検索すれば、そのような記述がいくつか見つかると思います)
実質的にはこれ以上のことはわかりませんでした。

●辞書類ではたいていalteration(変化)などの慎重な表現をしています。

●誰もが同じ間違いをするのでそれが定着したとか、影響力のある誰かの間違いが定着したといったことではなく、いくつかの形が併存した中からcocoaが残ったようです。
cocao, cacoaの形が記録されています。

●cocaoについては
Edward Phillips, The New World of English Words (1720年、初版1658年)
Nathaniel Bailey, An Universal Etymological English Dictionary (1763年、初版1721年)
に項目があり、chocolateの項目でも使用されています。
発音のゆれがあったとも想像されます。

●ヨーロッパのことばの中で、cacaoに対してcocoaのような変異をもつ言語はめずらしいようです。
英語のほかに絶無かどうかは不明ですが、次のサイトで各国語においてcocoaに相当する語を見れば、英語がほかとちがっていることは明らかです。
Translation of cocoa (Deifinitions. net)
Translation of cacao

●他の言語にはかつて変異が存在しなかったのか、英語で変異が定着したのにはどのような事情が働いたのか、という疑問が生じます。
しかし残念ながらどちらも私の手に余ります。


<ココアとココナッツ>

●こちらについてはOEDの編者James Murrayによる以下の記述があります。

The two words Coco and Cocoa—the former a Portuguese word[12], naming the coco−nut, the fruit of a palm−tree; the latter a latinized form of Cacao, the Aztec name of a Central American shrub, whence we have cocoa and chocolate—were always distinguished down to Johnson's time, and were in fact distinguished by Johnson himself in his own writings. His account of these in the Dictionary is quoted from Miller's Gardener's Dictionary and Hill's Materia Medica, in which the former is spelt coco and the latter cacao and cocoa. But in Johnson's Dictionary the two words are by some accident run together under the heading cocoa, with the disastrous result that modern vulgar usage mixes the two up, spells the coco−nut, 'cocoa−' as if it were co−co−a, and on the other hand pronounces cocoa, the cacao−bean and the beverage, as if it were coco.
The Evolution of English Lexicography

●ジョンソンの辞書(初版1755年)のミスプリントは次のサイトで見ることができます。
ココアの項目が、ココナッツの説明→カカオの説明になってしまっています。
A Dictionary of the English Language
Cocoa (2)
Page 401

●第2版からはカカオの説明のほうが抹消され、cocoaの見出しのもとにココナッツの説明だけが残りました。
その後長く訂正されなかったようです。
1785年の第6版

●このミスプリント以後ココアとココナッツが混同され、次の2つのことが生じたとMurrayは述べています。
(1) ココナッツがcocoanutとも綴られるようになった(現在の辞書にも記載されています)
(2) cocoaの発音が変わった、つまりaを読まない現在の発音になった(聞いてみてください)

●しかし、cacaoからcocoaの変異が生じた事情(たとえばそこにcoconutの影響があったかどうかなど)については、残念ながらここでは触れられていません。

-ateでおわる単語のアクセント・つづき [発音・綴り]

すこし前の-ateの話のつづきを。

-ateでおわる3音節以上の単語はそのふたつ前の音節にアクセントという規則は、例外が少なく、おぼえておくと有益な規則です。
でも、2音節しかない単語なら?
その場合はアクセントは前か後かのどちらかとなります。
これについて先日「名詞なら前、動詞なら後」としている記述を見かけました。
なるほどそうかと思ったあと、よくよく考えてみると、そのような傾向は-ateでおわる単語にかぎらず、2音節語一般について見られるものです。
ということは大筋では当たっていても、わりあい大事なところで例外が出てくる可能性がありそうです。
そのような例外をざっとさがしてみました。


●名詞だけれど後にアクセントがあるもの

estate 地所、財産
debate 討論 ※動詞としての用法もあります


●米音では前、英音では後にアクセントがある動詞
(重要な語が含まれています)

castrate 去勢する
cremate 火葬にする
dictate 口述する
donate 寄付する
frustrate 失望させる
gyrate 旋回する
locate 位置を定める
migrate 移住する
mutate 突然変異する
narrate 物語る
placate なだめる
prostrate 平伏する
pulsate 脈打つ
rotate 回転する
stagnate よどむ
translate 翻訳する
truncate きりつめる
vacate 明け渡す
vibrate 振動する
など


●動詞だけれど前にアクセントがあるもの

aerate 空気にさらす
palpate 触診する
など


ほかにもこまかく見れば例外と言えるものがあるようです(たとえば、名詞が動詞に転用されたときアクセント位置が変わるかどうか)。
とはいえ、たいていの語が「名詞なら前、動詞なら後」にしたがっていることもまた確かでした。

-ngerの発音(singerとfingerなど) [発音・綴り]

生徒さんがやっている問題で
singer
finger
longer
stronger
などの中から-ngerの部分の発音が違うものを選べというものがありました。

「動詞の派生語はちがう」と憶えておけばたいてい答が出せますが、音で区別できればそれにこしたことはありません。
生徒さんに電子辞書の音声を聞いてもらったところ、アメリカ英語だとなかなか難物のようでした。
ネット上の辞書で聞くとイギリス英語のほうがわかりやすいようです。

●Cambridge Dictionaries Online

singer(歌手)
finger(指)

hanger(ハンガー)
anger(怒り)

●Oxford Advanced Learner's Dictionary

singer
finger

hanger
anger


動詞の派生語のほうは、日本語の鼻濁音と同様の音です。
なんとなくやわらかい感じが手がかりになります。

Wikipediaの記事によると若干地域差もあるようです。

なお、この形にはginger(ショウガ)のような場合もあって、3通りの可能性があることになります。

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